住宅メーカーのチラシやパンフレットに出ている「坪単価」ついて、どういうものなのか教えてください。

坪単価は建築工事費を延面積で割り、1坪(畳2枚分、1.82m×1.82m=3.3㎡)当たりの金額に換算したものです。予算を出す時や予算が決まった時に、どの位の広さが建てられるのかの目安となります。例えば坪単価50万円で30坪の家を建てれば、予算は1500万円、予算2000万円で坪単価50万円なら40坪の家が建てられることになります。おおまかな計算に都合が良いので良く使われます。

しかし、ここで注意しなければならないのは、坪単価算出の元になる建築工事費と延面積にはどの範囲まで含まれているのかは、各メーカーによって違いがあるということです。
塀や門扉、カーポートなどの外構工事、野外給排水工事等、建物の外回りの工事は工事費に含まれないことが一般的で、照明器具やシステムキッチンも含まれないケースもあります。
床面積には2階のバルコニーも含めて計算していない場合もあります。
会社が違えば同じ坪単価でも内容には差があります。

坪単価が安くても好みの仕上げや希望する設備の追加で大幅なコストアップにつながることもあり、「坪単価が安い=総工事費が安い」とは一概に言えないのです。

坪単価のからくりを踏まえ、建築工事費にはどこまでが含まれ、どのような仕上げや構造、設備になっているのか、床面積にはどこまで算入しているのかなどの内容を確認した上で予算検討の参考にしましょう。

『月刊ぷらざ2001年5月号掲載』回答:松本金弥(JIA会員)

6 月 13, 2005 カテゴリー: 家づくり全般 | | コメント (0)

区画整理や道路整備で建物を建て替える時、留意点を教えてください。

個々の住宅や店を建て替えるには、建物の機能やデザイン、性能について設計事務所や工務店などの専門家に相談し、納得のいくよう造ることが基本です。

しかし、区画整理や道路整備で建て替えられる建物は1軒や2軒ではなく、地域、地区全体に 影響を及ぼしている場合がほとんどと考えられます。通りや商店街には固有の歴史があり、思い出があり、それが地域の個性やアイディンティティーになっているのです。

区画整理は道が広がり、ライフラインが整備され、生活の向上のためには必要な事業でしょう。しかし、将来的に子や孫たちの生活にまで影響を及ぼしてゆく大変革事業であるという認識を持つことが重要と考えます。したがって個々だけの建て替え で済まさず、街並みの創造を行うために近所の住人、自治会、区、市(県道や国道が 関係すれば、県や国)の関係者、専門家を交え『私たちの街に大切なのは何か、そし てどのような生活空間や街並みにすべきなのか』を協議しましょう。

地域、地区、そして通りの皆さんと一緒に建築協定、緑化協定等をつくり、歩道の仕上げの材料や色、外灯のデザイン、インフォメーションやアメニティーなどのパブリック空間を提案し個々のスペースと合わせて、納得した街づくりを進めてゆくことが大切です。役所で は意外とこのような申し出に対応してくれるはずです。

『月刊ぷらざ2001年10月号掲載』回答:萩原渉 (JIA会員)

6 月 13, 2005 カテゴリー: 家づくり全般 | | コメント (0)

家をつくるために、まず何から始めたら良いでしょうか?

皆さんが家を建てる時、まず住宅展示場へ行ってみる、あるいは知り合いの大工さ んや工務店に相談してみる、という話をよく耳にします。これも一つの方法ではありますが、まずは設計者を選ぶことが家を建てる時の最初の仕事です。しかも自分にとって最良の設計者を選ぶことです。

本来、建物を建てる場合には、法律的に設計・監理者(一級・二級・木造建築士)が必要なのです。設計者には、私たちのような設計監理を専業とする設計者のほか、ハウスメーカーや工務店等に所属している設計者もいます。それぞれの立場でその業務の内容も違います。
どういう設計者を選ぶかは、家 族全員の生活や人生のことも含め、「家をつくる目的」を改めて考えて見てはいかがでしょうか。

いずれにしても、良い家をつくるための設計者選びは重要なことです。 ただ単に技術的な処理やデザインをする技術者、あるいはデザイナーとしての付き合いだけではすみません。「家をつくる」という共通の目的に向かって、パートナーとしてのお互いの価値観や相性も大切な要素です。家をつくることは、建主にとっても 大変精力を使う一大事業です。だからこそまずは、信頼のおけるパートナー(設計者) 選びに全精力を傾けてみることをおすすめします。

『月刊ぷらざ2002年1月号掲載』回答:岡田敦志(JIA会員)

6 月 13, 2005 カテゴリー: 家づくり全般 | | コメント (0)